限られたリソースを活用して業績を伸ばすためには、的確な営業戦略の立案と実行が必要です。感覚だけで営業活動を続けても成果には結びつきません。


そこで本記事では、営業戦略の具体的な立案方法や評価基準となる中間指標の決め方、戦略実行に役立つ営業ツールなどについて詳しく解説します。

営業戦略とは

営業戦略とは

営業戦略とは、「企業が進むべき方向性やシナリオ」のことです。営業戦略を実現するための方法は営業戦術と呼びますが、営業戦術も含めた計画全体を営業戦略と呼ぶ企業も少なくありません。


売上向上の手段が営業担当者によって異なると効率が悪化するため、全担当者が共有・連携できる営業戦略を策定して、効率的に目標を達成できるようにする必要があります。

営業戦略の立て方

一般的な営業戦略の立て方を5つのポイントに分けて解説します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

現状分析

現状分析

まずは、自社・競合・外部環境の分析を行います。自社分析では顧客だけではなく、保有している経営資源や現状の肯定的側面、手薄な箇所を確認することも大切です。コロナ禍の環境変化で方針転換を迫られる企業が増えたため、競合他社の動向を分析して方向性を誤らないようにする必要もあります。


外部環境は、市場の動向や金融情勢、国際情勢なども含めた総合的な要因を分析しましょう。近年では顧客ニーズの変遷が速くなっているため、適切な分析ができない企業はビジネスチャンスを逃がす恐れがあります。

中長期的な目標の作成

中長期的な目標の作成

自社を取り巻く現状を把握したら、中長期的なビジョンを明確にしたうえで目標を掲げます。目標の例としては、「数年後の売り上げ」や「粗利率」、「顧客総数」などが考えられるでしょう。達成率を客観的に把握するためにも、数値で把握できる目標を設定してください。「モチベーションを高める」といった抽象的な目標はNGです。


目標を確立したら、次にKPI(Key Performance Indicator)を設定します。KPIとは、目標を達成するための中間指標で、「重要業績評価指標」とも呼ばれます。最終目標が達成できなかった場合、中間指標を設定しておかなければ「いつ」「どこで」「何が不足していたのか」が明確になりません。そのため、複数の中間指標を定めて、目標の達成度を戦略の展開中に確認できるようにします。


なお、KPIは社内のトップセールスを基準に設定するのが理想です。トップセールスを基準にすれば、他の営業担当者と差が生じているアクションが明確になるため、弱点の分析や適切な指導を行いやすくなります。


KPIはプロセスを定量的に評価する指標なので、すべてのビジネスに共通する項目はありませんが、セールスの場合には下記のようなKPIが考えられるでしょう。

なお、最終的なゴールはKGI(Key Goal Indicator)「重要目標達成指標」と呼ばれます。最終目標であるKGIを頂点に、複数のKPIが連なっているイメージです。「売上向上」をKGIに設定した場合の例は下記のようになります。

「売上向上」をKGI(重要目標達成指標)に設定した場合のKPI(重要業績評価指標)設定の例

KPI(重要業績評価指標)を設定する主なメリットは次の4つです。

  1. 営業プロセスが可視化される
  2. 進捗度合いが数値で可視化されるため、実行すべきアクションが明確になります。

  3. 評価基準を統一できる
  4. 個人に対して、数値に基づいた評価ができるようになります。公平性の担保だけではなく、チームの進捗状況確認にも役立つでしょう。

  5. PDCAを回しやすくなる
  6. 行動の結果がすべて数値化されるため、問題を改善するためのPDCAを回しやすくなります。

  7. 生産性向上
  8. 達成度合いの可視化によって業務の優先度が明確になれば、無駄な業務が減少してプロセス全体を効率化できます。

評価と改善

評価と改善

KPIを活用して営業活動の成果を可視化したら、分析と評価を繰り返して課題を明確にしていきます。明確になった課題と改善点は戦略に反映していきましょう。


ただし、目標にしていた数値と結果が大幅に乖離していた場合は、戦略の見直しを検討する必要があります。中間指標の時点で目標を大幅に下回っていたなら、その時点で軌道修正の判断をしてもいいでしょう。

営業戦略の立案に欠かせないフレームワーク

営業戦略の立案に欠かせないフレームワーク

ここからは、営業戦略の立案に欠かせないフレームワークをご紹介します。課題や問題点を整理したいときなどに活用してみてください。

3C分析

3Cとは、顧客(Customer)、競合企業(Competitor)、自社(Company)の頭文字です。3C分析を活用すれば、自社の現状や課題が明確になるだけでなく、部署内での問題意識共有も実現します。

3Cとは、顧客(Customer)、競合企業(Competitor)、自社(Company)の頭文字

それぞれの分析方法を詳しく見ていきましょう。

1.顧客分析

近年のマーケットでは顧客視点が重視されるため、最初に顧客分析を行う必要があります。主に用いられる分析は次の2つです。


・マクロ分析

景気や消費の動向や法改正、流行の変動といった社会的な変化を察知・解明します。巨視的観点による分析なので、フレームワークとしては「PEST分析」を用いるのが一般的です。

言葉にすると難解に思えますが、「社会を4つに分割して分析する」と考えればわかりやすいでしょう。

PEST分析とは、「社会を4つに分割して分析する」

上記のような4つの外部要因は、企業にとっては機会にも脅威にもなり得ます。しかし、4つの要因を自社の意向で変えることはできません。そのため、分析した要素が自社に与える影響を把握したうえで、予測される今後の動向とニーズに合わせた戦略を練る必要があるのです。


・ミクロ分析

業界の構造変化が自社のビジネスに与える影響を分析します。フレームワークとしては「5フォース(5つの脅威)分析」を用いるのが一般的です。

完全な独占状態にある企業は別として、多くの企業は競争原理の中で事業を展開しています。そのため、自社の脅威を5つに分類して分析して、業界の収益構造明確化と自社の競争優位性を探らなければいけません。

2.競合分析

競合他社の市場シェアや競合製品の強み・弱みを分析します。分析は「結果」と「要因」の2軸で行うのが理想です。「結果」では、競合企業の売上や利益率、顧客数、顧客単価といった明確な成果に注目します。「要因」は、結果に至る背景や効率が分析の対象です。


販売ルートや営業活動の状況、顧客サポートの体制など、多角的な分析を行いながら競合企業の構造を可視化しましょう。優れた部分があれば、積極的に自社のマーケティングに採用します。

3.自社分析

ここまでの分析をもとに、自社内の対応状況や競合他社との差異を分析していきます。経営資源や収益性、販路、組織力など、さまざまなポイントに着目しながら、成功要因を導き出すことが大切です。


自社分析に用いられる主なフレームワークにはStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)という4つの観点から企業内外の環境を分析する「SWOT分析」があります。


SWOT分析の一般的なイメージは下図です。

SWOT分析の一般的なイメージ図

成功要因の発見にはクロスSWOT分析を用います。クロスSWOT分析は、縦軸に強みと弱み、横軸に機会と脅威を取り、分析結果を戦略に落とし込む方法です。

クロスSWOT分析して戦略を立てるイメージ図

消費者行動モデルも活用する

消費者行動モデルも活用する

消費者の購買プロセスを表すフレームワークも併用すれば、アプローチの接点が明確になります。主なフレームワークを詳しく見ていきましょう。

AIDMA

AIDMA(アイドマ)は、消費者の購買決定プロセスを説明するフレームワークです。

AIDMA(アイドマ)は、消費者の購買決定プロセスを説明するフレームワーク

購買決定プロセスを上記の5つに分解することで、消費者の「段階」に応じたコミュニケーションをとりながら購買へと導くことができます。ただし、AIDMAは企業広告をきっかけとしたBtoC向けのフレームワークなので、SNSの重要性が増している近年の市場にはマッチしません。

AISAS

AISAS(アイサス)は、SNSによる情報拡散も考慮に入れたフレームワークです。

AISAS(アイサス)は、SNSによる情報拡散も考慮に入れたフレームワーク

先ほどのAIDMAは「企業→消費者」のワンウェイモデルですが、AISASは、消費者の能動的な行動「Search」と「Share」をプロセスに加えて、企業と消費者が相互関与するインタラクティブなモデルに進化しています。

DECAX

DECAX(デキャックス)はコンテンツマーケティングに対応したフレームワークです。

DECAX(デキャックス)はコンテンツマーケティングに対応したフレームワーク

SNSでの情報発見からコミュニティ化、体験と共有までが網羅されているDECAXは、近年の営業戦略に即したフレームワークと言えるでしょう。企業側が発信する情報をキャッチする「Attention」から、消費者が自ら情報を探す「Discovery」へと最初のステップが変わっているのもポイントです。従来の購買行動モデルが企業側視点だとすれば、DECAXは消費者視点の購買行動モデルであると言えます。

営業戦略の立案と分析に役立つツール「SFA」(営業支援システム)

営業戦略の立案と分析に役立つツール「SFA」(営業支援システム)

最終目標の業績向上を実現するためには、営業支援ツール「SFA」(営業支援システム)を導入して、営業活動の効率化やコスト削減を図ることも大切です。SFAの具体的な活用方法を詳しく見ていきましょう。

営業戦略の実現に役立つSFA【Sugar Spot】

営業戦略の実現に役立つSFA【Sugar Spot】

SlimTime社の「Sugar Spot」は、営業戦略の立案のための情報収集と業務効率化に最適なSFAです。1ユーザー月額1,500円という低価格でありながら、モバイルを活用した効率的な営業活動を実現します。訪問直前でもスマートフォンから顧客情報を確認できるため、出先での情報共有や進行中の案件チェックも容易です。


シンプルな機能と優れた操作性は、初めてSFAを導入する中小企業にも適しています。データ蓄積に欠かせない日報の入力も簡単です。正式導入後・無料試用期間中を問わずサポートは無料・無制限で、最低利用期間の設定もありません。


限られたリソースを最大限に活用した営業戦略の立案とコスト削減、業務効率化を考えている中小企業は、この機会に「Sugar Spot」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

営業戦略を実現して目標を達成するためには、数年先を見据えた分析が欠かせません。分析結果や戦略を固定化する必要はありませんが、将来的なビジョンとロードマップは明確にしておくべきでしょう。


目標と結果に乖離がある場合には、SFAなどのツールを活用した各種情報の可視化と業務効率化を検討することも大切です。今回ご紹介した分析方法やツールを活用して、精度の高い営業戦略の立案と目標の達成を実現していきましょう。


関連記事  ⇒  SFA(営業支援システム)導入で失敗しないためには?
              ⇒  SFA比較19選