営業活動を効率化すれば、時間とコストの大幅な削減が実現します。創出されたリソースを他の業務に回せば、新規顧客の開拓や成約率の向上につながる可能性も高まるでしょう。ただし、自社が抱えている課題や改善点を明確にしなければ効率化の成功は困難です。
そこで今回は、営業職効率化の実践方法や、非効率的な業務の放置で起こるデメリットなどについて詳しく解説していきます。効率化に役立つビジネスツールもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
近年では個人に依存する営業方法よりも、企業全体としての営業力底上げが望まれています。また、ネットの普及による購買プロセスの多様化によって、営業プロセスそのものを見直す必要にも迫られています。
従来の営業方法は非効率的な定型業務に割く時間が多くなり、注力すべき営業活動に時間を費やせなくなるといった問題も生じていました。コスト削減や働き方改革に注目が集まる中で、営業部門に新しい考え方やビジネスツールが波及するのは、ある意味当然と言えるでしょう。
効率化を重視する企業も増えてきましたが、実践方法についての知識が曖昧なため、期待している成果が得られていないケースは少なくありません。
営業職の効率化には、次のようなメリットがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
営業職の効率化は売上向上に直結します。たとえば、1日に発生している非効率的な時間を2時間削減できれば、1ヶ月で約40〜46時間を商談に充てることが可能です。
企業にとって貴重な資産も言える時間を効率的に管理し、顧客との面談に費やせれば、中長期的な業績アップにもつながるでしょう。営業担当者のスキルに問題がなければ、商談や面談の数に比例して成約数も増えていくはずです。
営業職の効率化によって時間に余裕が生まれれば、顧客とのコミュニケーションに費やせる時間が増加して商談の質が高まります。顧客ニーズへの対応も強化できるはずです。
営業業務が効率化されていない企業は、商談に費やす時間さえも不足がちになるため、顧客満足度にまで配慮が行き届きません。
営業職担当者の負荷軽減も効率化のメリットです。商談や面談で心理的に大きな負荷がかかっている営業担当者に事務的業務が加われば、気力が削がれてしまうでしょう。
しかし、非効率的な業務や不要な帰社が軽減されれば、営業担当者に余力が生じて、気力とパフォーマンスの向上につながります。
非効率的な営業活動の放置は、企業に次のような弊害をもたらします。
営業活動後に帰社して行う業務が多くなれば残業時間が増え、退勤時間も遅くなります。多額の残業代は企業の業績を左右するほどのデメリットになるので、早急な削減を検討したいところです。
不要な出社や帰社のために移動する時間は営業担当者の心身疲労につながるため、全体的なパフォーマンスが低下します。
非効率的な業務は給与に反映されにくいため、営業担当者のモチベーションが下がり、離職率を高めます。「モチベーション」のような数値化できない部分は効率化のメリットとして認識されにくいですが、企業の業績を左右する大きな要因のひとつと考えて間違いありません。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
営業職の効率化を考えるうえで、もっとも重要なのが移動時間です。必要不可欠な移動時間があるのは事実ですが、営業の現場では、下記のような効率化の余地が残されています。
準備不足による営業先への再訪問も避けたいところです。場合によっては、オンライン会議システムなどを導入して、営業スタイルの抜本的な改革を検討する必要もあるでしょう。
営業担当者が個別に顧客や商談の情報を管理していると、情報の散在化が発生して、退職や転勤などによる離職時の引き継ぎがスムーズに行えません。また、経験の多い営業担当者ほど属人的な営業活動をする傾向があるため、成功パターンにつながるノウハウが企業の資産として残らないという問題もあります。
情報の散在化を防ぐためには、ビジネスツールを活用した情報共有が必須です。顧客や商談などの情報はツールに蓄積して共有し、成功パターンにつながる営業手法を企業の資産として残せるようにしなければいけません。情報共有が実現すれば、担当者交代時に起こりがちな顧客との信頼関係崩壊も防ぐことができます。
営業前の計画立案や活動終了後の日報作成といった日々の定型業務も、効率化を検討すべきでしょう。移動を伴う定型業務が多くなると商談の機会損失が増え、企業の業績に悪影響を及ぼします。
営業担当者がもっとも多くかけるべき時間は「顧客との面談・商談」です。そのため、ビジネスツールを導入して定型業務にかける時間を削り、商談と面談に費やす時間を増やさなければいけません。
定型業務の効率化は商談と面談の時間を拡大するだけはなく、全体的な業務時間の短縮にもつながります。不要な帰社や残業時間を解消できれば、大幅なコスト削減にもつながるでしょう。
効率化を実践する際には、営業職の業務を下記のように分解すると課題を把握しやすくなります。
改善すべき課題を把握できれば、効率化の方法や導入すべきビジネスツールも明確になるはずです。そこでここからは、課題に応じた対応方法と最適なビジネスツールを詳しくご紹介していきます。
商談数が少ない企業に最適なビジネスツールは、MA(マーケティングオートメーション)です。MAには専門的な知識がなくてもLP(ランディングページ)や登録フォームを作成できる機能があるため、効率的にリードとの接点を広げることができます。
リードの受注確度に応じてアクションを変える「シナリオ機能」を使えば、少ない人材でも効果的なOne to Oneマーケティングを実現でき、商談数アップへとつなげることも可能です。
ただし、MAを導入する前に、商談数が少ない原因を深く分析して、効率化すべき要素を洗い出す必要があります。新規リードの獲得に問題があるのか、リードナーチャリングに難があるのかなどを明確にしたうえで、課題の解決に特化した機能を備えているMAを導入しましょう。
成約に至らないケースが多い企業は、リードのニーズが顕在化していない段階で営業担当者が接触している可能性があります。
このような場合は、ナーチャリングでリードの質を高め、購買確度の高いホットリードを自動的に抽出するMAの導入や、適切なタイミングで営業活動を行えるようにするSFA(営業支援システム)の活用が効果的です。規模が大きい企業は、MAとSFAを連携させることで、より効率的な管理体制を敷くこともできます。
平均案件単価の低さは、営業担当者のアップセルやクロスセルのスキルに問題があると考えていいでしょう。この課題を解決して効率化するためには、顧客情報を集積して動向を詳細に分析しなければいけません。
ビジネスツールを活用するなら、SFAかCRM(顧客関係管理)が適しているでしょう。グループウェアを導入してチーム内の連携を強め、アップセルやクロスセル営業に適していないスタンドプレーを防ぐことも大切です。
回転率の低下は、管理者が各営業担当者の進捗状況を把握できていないために起こります。営業担当者の行動をブラックボックス化させないためには、進捗状況や営業プロセスの可視化を実現するSFAの導入が欠かせません。
SFAを活用して営業活動に関するさまざまな情報を可視化すれば、管理者が進捗状況に応じて適切な指示やアドバイスができるようになり、回転率の向上へとつながります。
営業職の効率化に欠かせないツールを詳しくご紹介していきます。抱えているが課題によって導入すべきツールは異なるので、各ツールの特徴を把握して、非効率的な営業業務の改善を目指しましょう。
営業活動の効率化に役立つ代表的なツールです。進行中の商談や抱えている案件をデータベースにして管理できるため、最低限のリソースで幅の広い営業活動が実現します。
営業職の効率化に役立つSFAの主な機能は、次のとおりです。
など
日報作成のような定型業務は、ネットの接続環境があれば、帰社しなくても行えます。スケジュール管理を活用すれば、時間や場所を問わず訪問計画を作成できるため、直行直帰も可能です。
なお、近年では企業規模を問わずSFAの導入が進み、業務プロセスの改革や営業担当者の負担軽減に活用されています。
顧客情報の管理に特化したビジネスツールです。詳細な情報もすべて可視化できるため、最適な方法で顧客にアプローチできるようになります。顧客のさまざまな情報をデータベース化できるツールと考えればわかりやすいでしょう。
CRMを導入すれば、顧客の性別や年齢、職業、居住地だけではなく、購入した商品や購入後の行動などもデータにして蓄積することができます。価値観の多様化にも対応できるため、既存顧客の囲い込みだけではなく、新しいノウハウの蓄積やインサイドセールスにも活用可能です。
従来は営業担当者の勘や実体験に基づいてアプローチ先を決めていましたが、MAを使えば顧客のアクションから受注確度を可視化することができます。
営業分野で注目したい機能は「スコアリング」です。この機能を活用すれば、購買確度の高いリードをMAが自動的に抽出するため、営業担当者は最適なタイミングで顧客にアプローチできるようになります。リードの獲得からナーチャリング、リードクオリフィケーションまで、マーケティング活動全般にかかるコストと時間の削減にも有用です。
オンラインで会議が行えるシステムです。営業先に出向く必要がないため、移動時間や交通費などを削減することができます。近年では、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐツールとしても注目されています。
従来はメールを使っていた業務連絡を、チャット上で行うツールです。従業員同士や取引先との意思伝達が容易になるため、業務効率化を目的として導入する企業が増えています。
メッセージと同時にファイルを送受信することも可能です。目的に応じてグループチャットを複数設置すれば、営業担当者間や顧客とのメッセージを効率的に分類・整理できます。
営業部やチームなどのグループ単位で協調・協業を考える際の意思疎通を効率化するビジネスツールです。グループウェアには、主に次のような機能があります。
など
グループウェアを導入すればスケジュールや仕事の状況を画面上で確認できるため、当事者に連絡をしなくても、素早く次のアクションに移れます。勤務地やタイムゾーンが異なるメンバー同士でコミュニケーションがとれるのも大きなメリットです。
名刺を電子ファイルとして保管できるシステムです。物理的な保管スペースを削減できるだけではなく、スピーディーな検索による業務時間の短縮にも役立ちます。最新の情報を常に共有できるようになるため、アプローチの幅も広がるでしょう。
営業職の効率化に役立つビジネスツールを紹介してきましたが、「ツールの導入=効率化の実現」ではないので注意してください。ツールの導入そのものが目的になってしまうと効率化は成功しません。
ビジネスツールを活用して営業職の効率化を実現させるためには、導入前に営業担当者各人の意識改革を行い、ツールを有効活用できる体制を整えておく必要があります。
新しいツールの利用に抵抗を感じる営業担当者は少なくありません。そのため、「非効率的な業務が発生している事実」と「無駄な作業が営業担当者自身の負荷につながっていること」などを伝えたうえで、全社的な営業活動の効率化を進めていきましょう。
「Sugar Spot」は、SlimTime社の業務効率化と営業力の底上げに役立つSFAです。シンプルな操作性で営業日報の入力は簡単。訪問期間の空いた地域は地図上に表示できるため、営業ルートの検討もスピーディーです。訪問先の情報はスマートフォンから1分で確認できるため、営業担当者の負担軽減にもつながります。
月額1,650円(税込)/1ユーザーで利用できるのも魅力です。必要最低限の機能とコストで最大限の業務効率化を目指している中小企業には、最適な営業ツールと言えるでしょう。
営業職を実現するためには、ビジネスツールを導入するだけではなく、営業担当者個人レベルでの意識改革も重要です。ツールの導入をゴールにせず、組織の根本から改善していくことを前提にしましょう。
営業担当者の考え方を変えるには時間がかかりますが、日報入力のようなすぐにでも改善できる非効率な業務はツールを使って迅速に効率化を実現し、営業部全体の生産性向上へとつなげたいところです。
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